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No.21 ワインエキスパート(2008年合格)―伊與田 正晃

No.21 ワインエキスパート(2008年合格)―伊與田 正晃

 

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【受験勉強のきっかけ】
私のワイン歴は比較的浅く、ブドウの品種や産地などを気にしながら飲むようになったのは3,4年くらい前からです。カナダ留学中にオンタリオのワインに出会ったことがワイン好きになる大きなきっかけになりました。オンタリオワインというのは、日本ではあまり馴染みがありませんが、非常にリーズナブル、かつバランスが良くとっても親しみやすいワインです。異国での生活を通してワインがより身近になるにつれ、もっと体系的に勉強したい、そして家族や友達にもっとおいしいワインを教えてあげたい、という思いが強くなりワインエキスパートの受検を考えるようになりました。勉強を始めたのが2008年1月で、新年の始まりとともにスタートしました。節約のためワインスクールには通わず独学で勉強することにしました。しかしながら正直、スタート時点では同じ年に受検しようとは考えていませんでした。合格するためには、とにかくテイスティングでブドウの品種を当てなければならない。そんな神業みたいなことを自分ができるようになるまでには何年も修行がいるのではないか、といった偏ったイメージがあったからです。勉強を進めていくうちに、筆記試験だけならなんとかなるかも、と思い受検を決めたのが締め切りぎりぎりの7月でした。この時点でもやはりテイスティングが課せられる2次試験の壁があまりに高く感じ、合格する自信はまったくありませんでした。


【1次試験】
時間的な余裕がなかったので1次試験までは筆記試験対策に全力を注ぎました。しかしながらソムリエ協会の教本は情報量が膨大なので、恥ずかしいことに勉強を始めて1週間程で挫折しました。まずはもっとコンパクトにまとめられた他の参考書を使用し、その参考書を終えた後に、実際に過去問題を解き、足りなかった知識を教本で埋めていくという流れで勉強を進めていきました。
馴染みの無い言語で単語を暗記していくのは、予想以上に苦労しました。フランス語とスペイン語は勉強したことがあるので比較的スムーズに頭に入ってきましたが、ドイツ語はお手上げでした。ドイツのブドウ品種であるGewürztraminerをゲヴェルツトラミネルとすらすら読んで暗記できるまでに何日もかかりました。読めない単語や発音し辛い単語はなかなか覚えられません。実際に声に出して読んだり書いたりしてなんとか覚えていきました。ドイツのラーゲを暗記するのが、一番つらかった記憶があります。
またフランス・イタリア料理の暗記も苦労しました。あまり本格的なレストランで外食をしたことがなかったので、教本に載っているような料理は食べたことはおろか,ほとんど聞いたこともありませんでした。料理名から味や香りをまったく連想できない、そのような状況で、ワインと相性を学習していくのはかなり無理がありました。とにかくインターネットを駆使し、料理に関する写真や文章を一つ一つ調べ、ワインとのマリアージュをイメージしながらなんとか覚えていきました。本来、全ての料理を実際に食べるべきなのでしょうが、現実的にはそうできないのがつらいところでした。
暗記で一番大切なのは、とにかく時間の使い方です。平日は帰宅するのが22時過ぎでゆっくり勉強する時間はありません。しかしながら毎日少しずつでも勉強しないと、なかなか記憶というものは定着しません。空き時間にどれだけ勉強できるかが勝負です。私の場合は、教本は重たく持ち歩きたくなかったので、小さめの参考書を常にバックに入れていました。満員電車で本を開きにくいときは、携帯電話を使ってワイン関連のHPにアクセスして勉強していました。またバックを持たずに遊びに行くときでも、暗記用のメモ用紙を作ってポケットに入れて持ち歩き、空いた時間に勉強していました。あまりに暗記する量が多く何度も挫折しそうになりましたが、そんなときにはワインでも飲んで、これを作っている生産者は我々を楽しませてくれるため、もっともっと努力をしているに違いない、なんて想像を巡らすと不思議と次の日にはまた勉強する気になっていました。試験当日まで挫折すること無く、なんとか勉強を続けた甲斐もあって1次試験は合格しました。何度も自己採点をして大丈夫だと思っていても、やっぱり不安でしたので合格通知が届いたときはやはりうれしかったです。


【2次試験】
1次試験が終わった後に、初めて2次試験対策、特にデギュスタシオン対策を始めました。
ワインは赤か白か、渋いか渋くないか、くらいの違いしか分からなかったので、まったくデギュスタシオンなんてできる気がしませんでした。最初は何から勉強していいかもわかりませんでした。このときばかりは、独学では難しくスクールに通っていないと合格できないかと思い、来年2次試験から受検し直そうかという気持ちでした。しかし弱気になっていてもしょうがないので、とにかく情報を集めました。情報は主にインターネットの掲示板やSNSから調べていきました。調べていくうちに自分が大きな勘違いをしていたことに気づきました。ワインの品種や原産地も当てることよりも大切なのは、外観・香り・味わいを適切にコメントできることです。つまり、どれだけ多くのワインを知っているということではなく、ワインを適切に表現するためのスキルが問われるということです。これならば経験の無さを勉強でカバーすることができるかもしれないと思い、本気で勉強することにしました。それでも、適切にテイスティングコメントを選ぶ練習には実際にワインに触れる以外方法はありません。私の場合は、リカーショップで開催されているテイスティングセミナーに参加して練習をしました。セミナーと言っても、本格的な講義があるわけではありません。しつこく店員さんに質問し、テイスティングしたワインのポイントとコメントの意味などを、一つ一つ教えてもらって、少しずつ適切なコメントをできるようになりました。約1ヶ月の勉強と練習でなんとか合格できる僅かな希望を感じ始めてきました。また余談ですが私は理系人間なので、ワインの成分とデギュスタシオンについて教本よりもう一歩進んで勉強してみました。例えば、この酸味はまろやかだから乳酸由来、キリッとしているからリンゴ酸由来といった具合に、香りでも味わいでも、それがどこから生まれるのか理解することできれば、デギュスタシオンする際に少しは役立つように考えられます。


【最後に】
約9ヶ月間の勉強でやれるだけのことはしましたので、悔いは無いと思い落ち着いて試験を受けることができました。口頭試問は一次試験の延長で問題なく解くことができ、デギュスタシオンにおいても、コメントは自信を持って答えることができました。正直に言うと、やはり品種・産地は正確には分かりませんでした。邪道かもしれませんが最終的には実際に飲んで決めました。もちろん試験後はずいぶんと酔っ払っていました。そして約2週間後に結果が届き、中身には「合格」とありました。とてもうれしかったです。もちろん、ワインエキスパートの名に恥じぬよう、これからも勉強を続けていきたいと思います。またこの場を借りて、一緒にワインを飲んでくれた家族・恋人、そして友人へ感謝の意を述べて終わりにしたいと思います。ありがとうございました、そしてこれからもおいしいワインを飲みましょう。

 

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