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No.27 ソムリエ(2008年合格)―川村 喜郎
私は銀座のクラブで長い間バーテンダーとして様々なお酒をお客様に提供させていただいてきました。
その間、何度となくワインの波も訪れ、ワインの需要が高まるにつれワインとの関わりが年々深まり、資格取得への意欲が次第に強くなりました。
まだまだこの業界ではレストラン等とはまるで違い、ワインに対して間違った認識が大変多く、ワインセラーの常備が完全に常識になったのでさえかなり遅かったような気がします。
今ではその点は改善されたと思いますが、取り扱いの常識、ワインサービスの正しい方法なども、まだまだ勉強不足の部分が多く、ワインに精通されたお客様には「クラブではあまりワインは飲みたいと思わない」と言われてしまうような状況が少なからず今だにあります。
レストランとは違い、お酒をメインとした形態なので、ソムリエを採用しているお店もまだ数件ほどしかなく、ワインに関してはお客様に最善のサービスが行き届いていない、というのが現状だと思います。そんな話題が多店舗の仲間ともよくあります。
何年も前からしっかりとした資格の必要性を感じてはいたのですが、中々実行できずにいい加減な独学で仕事を続けて来てしまいました。
とても難しい試験と聞いていたので私には無理ではと思いながらもスクールに通う決心をし、勉強を始めました。
分厚い本をぶらさげて8ヶ月間、毎週土曜日に通学し、その日の要点を家に帰ってからノートにまとめ、その週の授業内容を次の授業までに、一週間に分けて覚えるようにして次週のスクールでの小テストに備えました。
正確な知識を基礎から順を追って身につけられる事が最初はとても楽しく、充実していてワインへの造詣もますます深まっていったのですが・・・・
フランスを終えるあたりからあまりに膨大な暗記の量に頭を抱えてしまい、まだまだこれからだというのにとんでもない事を始めてしまった自分に気付き、生半可な気持ででは絶対に無理だという事を痛感しました。
そんな時、お店のお客様に教えていただいたのですが、暗記をするにはそれ(勉強の対象)を大好きになり、沢山の興味を持ち、楽しみながら覚える事が一番だと教えて頂き、何とか実践できないものかといろいろと考え、聞いた事もないような名称や単語を覚えるために自分が楽しめるように、語呂合わせを改良したり、好きな歌に替え歌にしたり、似たような覚えやすい単語に置き換えたり、歴史、法律、数字等を身体の部位に置き換えてみたり・・・と様々にやってみてパズルを解くような感覚で、出来るだけ楽しみながら覚えるように努力しました。
とはいえ記憶を確実なものにし、維持するには何度も繰り返しの地道な暗記が必要でした。
ある時は、単語帳を片手にブツブツ言いながら銀座を歩き回っていたため、気が変になったと勘違いされ、同業の仲間から「どうしたの?」と心配された事もありました。
仕事を続けながらの勉強、スクール通いはとても大変でしたが、そのためにお店や家族から沢山の協力をいただけたので、続けられたのだと思います。
何ヶ月もの間、何処にも連れて行けずにただひたすら勉強の日々を、文句も言わず、一緒の気持で協力してくれた家族にとても感謝しています。
おかげで絶対に今年一発で受かりたいという気持を持ち続けることができました。
いよいよ一次試験
私は朝が苦手なため一次試験は会場のホテルに前日から入り、最後の詰め込みを徹夜でして試験に臨んだのですが、大事な事前講習を徹夜あけの朦朧とした頭で受けるのが大変でとても後悔しました。
それでも試験開始が近づくと緊張も高まり眠気も吹き飛び、試験に臨む事ができました。会場内の張り詰めた緊張感の中で、全力を出しきることだけに集中しました。
進めていくうちにつれ、今までに見た事もないような問題の形式に戸惑い、時間を消費してしまい、最後の問題までしっかりと考えるには時間が足りなくなってしまいました。
発表までの間、本来ならば二次に向けての勉強をしっかりしなければいけないのに、一次を終えた時点であまり手応えを感じられず、一時的に脱力感に襲われてしまい、勉強に身が入らないまま発表を待ちました。
そしていよいよ発表の日。自分の番号を協会のホームページで見つけた時の感激は、今までの苦悩を一瞬で吹き飛ばしてくれる程のものでした。
今考えれば、そこでもう一度初心に帰り、気持を引き締めるべきところだったのですが、感激のあまり両手が上に上がりっぱなしの状態になってしまいました。
おかげで気が緩み集中力を保てず、そのまま二次試験へ・・・。
口頭試問では簡単な問題に、有り得ないようなミスをしてしまい、またまた大変な後悔をしたままドキドキした状態で発表を待つ結果になってしまいました。
でも今となっては、それもとてもよい教訓として残っています。
二次の合格発表の際には、うちの奥さんなどは「結婚した時よりも嬉しいかも!」などと言って喜んでくれました(もちろん人生で一番という意味で・・・だと思います)。私もこの感激は忘れられないと思います。
久々にやり遂げられた充実感を味わう事が出来ました。
ワインはそれだけで完成された複雑な奥の深いすばらしいお酒だと思いますが、敢えて先に進むという意味でワインベースの新しい飲み物等、幅広く楽しみながら模索して行きたいと思います(ワインどうしのブレンドはやはりタブーですか?)
これからが真の勉強だと思います。
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