関東
シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会広報責任者
フィリップ・ウィブロット氏インタビュー
リポート:棚橋 真紀(関東支部委員 会員番号8700)
2009年4月、シャンパーニュ地方への訪問時、シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会 (以下C.I.V.C.)広報担当のフィリップ・ウィブロット氏に、C.I.V.C.の環境への取り組みと、シャンパーニュの現状についてインタビューする機会を得た。
C.I.V.C.の環境問題への取り組み
C.I.V.C.は、数あるフランスのワイン産地の中でも、早い時期から環境問題へ取り組んできた。実際、炭素バランスシートの作成を開始したのも2003年と世界的なワイン産地の中で最も早い。現在C.I.V.C.の活動の一環である環境問題への対策として、具体的に取り組んでいることについて、ウィブロット氏は以下のことを挙げている。
第一に「瓶の重量を削減」すること。一般的にシャンパーニュの瓶の重量は、他のものと比較して重いのが特徴であるが、現在では瓶の厚みを少なくし、100グラム削減するといった試みがなされている。まだテスト段階ではあるが、特に問題は見られないという。瓶を100グラム軽量化することにより、温暖化ガスを7パーセント削減できるというのであるから、決して無視はできない。
第二に「リサイクルの徹底に注力」すること。既に剪定後の樹の枝を暖房に使用することを実践しているシャンパーニュ・メーカーも多数あり、今後はプラスティック製品等を含めてすべてのもののリサイクルを促す方向だ。
第三に「生産者へのサポートを推進」すること。現在約130名いるC.I.V.C.の職員のうち、約45名が技術的な面で生産者をサポートしている。気候の変動が環境問題に大きな影響を与えるため、現在シャンパーニュのぶどう栽培地域の約1,000ha毎に36箇所の気候観測所を設置し、ぶどう栽培者に対してきめの細かい情報提供を行なっている。
この根底にあるのは、フランス全土が温暖化ガスの削減に非常に熱心だということだ。ボルドーやブルゴーニュと較べ、AOCの数は限られているもののシャンパーニュというたった一つのAOCに携る生産者の数は多大である。したがって、1つの行動を起こそうとする場合、多くの人々の賛同を得る必要に迫られるが、諸規定に最低限の規制を設けることで、生産者の足並みを揃えることができるとウィブロット氏は語る。実際、シャンパーニュの他の規定では、熟成期間やキュヴェ、タイユなど常に最低限の規制を設けることで足並みを揃えている。
経済危機と世界情勢の影響
嗜好品であるワインの中で、とりわけ贅沢品のイメージが強いシャンパーニュであるが、昨年来の経済危機の影響は免れなかったようだ。今年初、前年同月比の出荷量は3割減となり、深刻な状態となった。サプライヤーが在庫を抱えないようにしていることも原因であったと同氏は語る。このような危機で一番影響を受けやすいのは小規模な生産者で、その動向からは目が離せないようだ。
現在では、いわゆるBRICsと呼ばれる国の中でブラジルは消費が安定しないという理由で輸出は控えているが、その他の3カ国、特にインドについては英国文化を背景に持つことから大きな期待を寄せているという。また、以前と比べて輸出相手国の数も増加しており、リスクを分散しているのも大きな特徴ということだ。
ロゼ・シャンパーニュの今後
日本市場において、特に人気があるロゼ・シャンパーニュは、以前は女性が消費するものといった先入観があったが、現在では男性も気軽に口にするようになり、またヤマウズラの目の色に代表される、視覚的にも楽しめるのがロゼ・シャンパーニュの魅力である。加えて、今後は、醸造方法や赤ワインのブレンド比率の大小により幅広いバリエーションの中から、好みや用途に合わせてロゼ・シャンパーニュの選択の幅も更に広がるだろうとのコメントがあった。
最後に
多くの生産者を抱えるシャンパーニュで、その活動をサポートするのは決して容易ではない。C.I.V.C.は商業的な活動は行なわないものの、シャンパーニュについての知識を深める上で役立つDVDを作成するなど、シャンパーニュの知名度の拡大に極めて重要な役割を担っている。C.I.V.C.の活動が、今後のシャンパーニュの発展に大きく貢献することは間違いないだろう。
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