関東
オーストリアワインサミット2009リポート (パート2)
オーストリアワインマーケティング協会(AWMB)主催
リポート:棚橋 真紀 (関東支部委員 会員番号8700)
ハイドンと青空に映える宮殿
公爵家の典雅な暮らしを彷彿とさせるエスターハージー宮殿は、40年もの間、宮廷音楽家ハイドンが仕えていたという。晴れ渡る青い空に美しいコントラストを与えているエスターハージー宮殿を横に見ながらレストランへと移動し、ブルゲンラント料理とワインを味わった。料理と共に供されたワインはすべて、17世紀よりワイン造りに携ってきたエスターハージーワイナリーのものであった。音楽家ハイドンは、給与の一部をワインで支払われていたという記録もあるが、今年はハイドンの没後200周年に当たり、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロから造られた「オマージュ・ハイドン」という名前のワインが発売されたという。ブルゲンランド州の最も重要な文化遺産であるこの宮殿は、1649年にエスターハージー家の所有となり、今では年間10万人の人が訪れる。中でもハイドンの要望により音響設備を整えた大広間「ハイドン・ザール」は、今日でも世界屈指の音楽ホールとして多くのコンサートが催されている。
シュタイヤーマルク州南部の主要品種であるソーヴィニヨン・ブランと、ブルゲンラント州中部のブラウフレンキッシュの個性豊かなワインをテイスティングした後、今度はブルゲンラント州北部のワインのテイスティングへ。国際品種を使用したワインも多い中、印象に残ったのはやはりオーストリア固有のブドウ品種であった。
| 青空に映えるエスターハージー宮殿 |
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自然の宝庫、ノイジードラー湖
ノイジードラー湖でのボート遊覧を控えて空模様が心配された。先ほどまでの晴天が一変し、突然雨が激しくなってきたからである。湖畔に着くころには少し小降りにはなったものの、生憎の天気の中でのボート周遊、その後スパークリングワインの試飲へと移り、甘口のスパークリングはケーキにも良くマッチした。このあたりは一般的に降雨量が少なく日照量も多いのだが、この日は雨模様で視界が悪かったのが残念だった。
湖の東側でボートを降り、今度はこの地域で産出される甘口ワインの試飲へ。ここは自然保護区域となっており、野鳥が多く見られ、とりわけコウノトリの飛来地として知られている。湖の湿度に助けられて出来上がった貴腐ワインは、ハチミツのような甘味と豊富なミネラル感が特徴で、本当にやさしい味わいに仕上がっている。
「パノニアン・ディナー」と題された夕食では、ブルゲンラント州のさまざまなワインがサービスされた。品種も多岐にわたっており、改めてそのバラエティーの多さに驚かされた。国際品種とオーストリア固有品種とをブレンドした赤ワインが想像以上に調和が取れており、非常にエレガントな様相を見せる一方、白ワインも爽快ですっきりしたもの、少し樽香が感じられる重厚なものなど、さまざまな表情を見せていた。
シュロス・ホーフ宮殿でウィンナー・シュニッツェル作りに挑戦
翌朝はニーダーエスタライヒ州に入り、スロヴァキア国境に位置するシュロス・ホーフに移動。バロック建築が美しいこの宮殿は、その手入れが行き届いた庭園に思わずうっとりさせられる。天井の高い宮殿の見事な装飾の施された会場でのセミナーでは、さまざまな品種から出来たワインを試飲した。
ニーダーエスタライヒ州のワインの説明を受けた後、料理教室に参加し自ら昼食用のウィンナー・シュニッツェル作りに挑戦。一見簡単そうに見えるが、実際にやってみるとやはり技術が必要でなかなか難しい。このオーストリアの代表的な料理と合わせたのはグリューナー・ヴェルトリーナー。オーストリア東北部にあるニーダーエスタライヒ州はブドウ栽培面積が3万ヘクタールとオーストリア全体の約6割を占める。その中でも半分がグリューナー・ヴェルトリーナーを栽培している畑で、この上品でスパイシーな品種は、申し分なくウィンナー・シュニッツェルとベストマッチである。この州のグリューナー・ヴェルトリーナーは北部の産地であることから、全般的にフレッシュで豊かな酸味の印象が強かった。
| シュロス・ホーフ宮殿の庭園 | ウィンナー・シュニッツェル作りの説明 |
ドナウ河の壮大なる修道院
いよいよこの後はドナウ河沿いのオーストリアワインの名醸地の訪問だ。ドナウ河をしばらく行くと、丘の上にゲットヴァイク修道院の壮美な姿が聳え立つ。堂々とした威厳のある修道院で、近寄り難い感じさえ与える。しかし内部には周辺を見渡せるパノラマ状になった素晴らしいテラスレストランがあり、まるでリゾート地のようで心を和ませてくれた。そこからの眺めも絶景で、時が過ぎるのを思わず忘れてしまう。
修道院を見学した後、カンプタールDAC、クレムスタールDAC、トライゼンダールDACのワインを土壌別にテイスティングした。ミネラル感溢れるもの、果実味豊かなもの、厚みがあるものと、同じグリューナー・ヴェルトリーナーやリースリングでもこれほど異なる表現をするのかと感動を覚えた。
ここからはクリンガー会長も加わり、この後の夕食まで同行していただいたが、多彩なエンターテイナーぶりを発揮する会長の存在は、会食の場にも花を咲かせていた。
| ゲットヴァイク修道院のテラスレストラン |
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