関東
オーストリアワインサミット2009リポート (パート3)
オーストリアワインマーケティング協会(AWMB)主催
リポート:棚橋 真紀 (関東支部委員 会員番号8700)
ワイナリーの中心地でロイジウムワイン博物館を見学
ワイナリーが多く集中するランゲンロイスにあるロイジウムワイン博物館には、ワインの販売所も併設されており、その前衛的な建物を入ると不思議な空間が広がる。まるで建物全体が迷路になっているようだ。ユニークなグッズを販売しており、ワイン好きはもちろんのこと、ワインが苦手な人でも楽しませてくれる。見学時間が少し短かったのが残念だったが、もう一度ゆっくり楽しみたいと思った。ここではソーヴィニヨン・ブラン種のスパークリングワインをテイスティング。酸味が穏やかでやさしい印象を受けた。
セミナーの後にぶどう畑へ
「偉大なるヴァッハウの単一畑」と題されたセミナーでは、ドナウ河に沿って東西に長いヴァッハウ地区の単一畑のワインを西から順に6種類試飲した。この地区は、東のパノニア平原からの暖かい風と北部からの冷気に加えてドナウ河に切り立った斜面の傾斜、そして熱を蓄える岩石がブドウ畑の独特な環境を構成している。西に向かうに従って気温は低くなり、それに伴いブドウの収穫時期も遅くなる。この試飲で最も印象に残ったものは、後に見学に行くヒルツベルガーのリースリング。アルコール度数はスマラクトの格付けだけあって13.5%としっかりしているが、重たさは微塵も感じさせない。ヴァッハウのものは、アルコール分が多くても、引き締まった酸味とそのフィネスで、エレガントさが強調されるとの説明を受けた。この生産者は、わずかながら初期段階での貴腐菌が付着したブドウを使用しており、これによりワインに濃縮感とエキゾチックな芳香を与えている。
シュピッツ村を見下ろすヒルツベルガーの畑を見学する頃には日差しが強くなり、青空の下、リースリングの葉がたっぷりと太陽を浴びていた。この日は風も強く、このヴァッハウの地区が暑い年には灌漑を必要とするのも納得ができた。
(左から)
ぶどう畑からシュピッツの村を見下ろす
遊覧船からの光景
船上でのワインのプレゼンテーションを終えた生産者たち
ドナウ河沿いの景勝地を生産者とともに
シュピッツから遊覧船に乗り込み、ヴァッハウの格付けの中で、アルコール度数が11.5%~12.5%の規定があるフェダーシュピールのワインを試飲した。ここでは生産者が自ら自身のワインの説明をする。先ほどのスマラクトとはまた違う味わいで、酸味を心地よく感じるものが多かった。外に目を向けると、ドナウ河沿いのブドウ畑が太陽に輝き、ブドウの葉の緑と空の青さのコントラストがこの景勝地をこの上なく美しいものにしていた。場所によっては岩がむき出しになっている所もあり、その光景は目を見張るものがある。初夏のさわやかな空気を感じながら、シャッターチャンスを狙って、船の甲板に出る参加者も多数見られた。その後、ヤメックのワイナリーに併設されたレストランの庭でのガーデンランチ。もちろんここのワインのものも料理に合わせたが、やはりワインのブドウが育った畑のもとで飲むワインは最高だ。
グロリエッテでオーストリアワインの将来に乾杯!
ウィーンに戻る頃には、太陽も低くなっていたが、初夏の日はまだ暮れない。シェーンブルン宮殿を見下ろすグロリエッテに移動し、三つのグループに分散して行動した今回のワインサミットの参加者全員が一堂に会してのパーティーが始まった。初日のホイリゲで集合してからそれぞれ異なる行程でツアーに参加していたが、ここではすべての参加者が合流する。音楽の都に相応しく、グロリエッテの入り口ではクラシック音楽が奏でられ、それをバックに喉越しの良いスパークリングワインから試飲を始めた。内部に進むに従って、赤・白・甘口など100種類に及ぶワインが勢ぞろいだ。中でも数が圧倒的に多かったのはやはりグリューナー・ヴェルトリーナーで、テイスティングのみならず前菜との相性を楽しんだ。また、赤では非常に個性的なザンクト・ラウレントや、上品な甘味が魅力的なアイスワインもテイスティングする機会に恵まれた。
参加者同士の会話が弾む中、パーティーを盛り上げてくれるのはやはりクリンガー会長。多彩なその才能は、ピアノ演奏にダンスにと生かされており、暗くなる頃には会長を囲んで大きな輪ができていた。
パーティ会場になったグロリエッテ
ピアノ演奏を披露するクリンガー会長
ワインサミットを振り返って
音楽、建築、美術などオーストリアの魅力は計り知れないが、今回は特にワインがオーストリアの文化を彩る重要な要素であるとともに、今後のオーストリアの産業においてもますます発展する余地があることを実感させられた。また、幅広いタイプのワインを生み出しており、今回体験したように、食事のどの場面にもマッチするワインを必ず見つけることができる。一昨年からの経済危機の影響で全体の輸出が落ち込む中、昨年のオーストリアワインの輸出は金額だけでなく、その数量も増加している。これは世界がオーストリアワインの価値を認めているということに他ならない。もちろんこの事実にこのサミットのスケジュールを綿密に企画したAWMBが大きく貢献していることは言うまでもない。今後も益々の発展が期待されるオーストリアワインからは目を離すことはできない。
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