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【田村憲久厚労大臣に緊急インタビュー】 聞き手・田崎真也会長

 

ワクチン効果が表れ、出口への光が見え始めている!

田崎会長と田村大臣

 

(取材日:2021年7月20日 全文は「Sommelier」9月刊の巻頭に掲載されます。)

<田崎>今日は貴重なお時間をさいていただき、ありがとうございます。田村大臣にはソムリエ・ドヌールにご就任いただき、かなりのワインファンでいらっしゃるので、我々飲食業界の今の大変な状況を理解されていらっしゃると思います。東京には4回目の緊急事態宣言が出され、しかも3回目の緊急事態宣言からは2カ月と期間が長く、もしもそれが再び継続というようなことになれば、飲食店のみならず、酒販店、問屋・卸、お酒の生産者、食材の生産者など、各方面に及ぼす影響は甚大で、かなり危うい経済状況になってしまいます。

<田村大臣> 家でお酒を飲むといっても、飲食店でお酒が提供されていないとお酒の消費量は格段に下がりますからね。飲食店を軸に、さまざまな業態が関連していますので、たしかに田崎さんがおっしゃる通りです。

<田崎>山梨県の飲食店は、時短なし、人数制限なしで営業をずっと継続できています。それは例えばパーテーションを一人ずつで囲ったりなど、県が提示したかなり厳しい感染症予防対策がとられているからこそ、それができているわけですが…。

<田村大臣> 「山梨モデル」はすごいと思います。ただ、山梨のように調査員が飲食店に行き、感染症予防対策をチェックし、指導していくという方法を東京でも同じようにできるかというと、飲食店の数が格段に多く、現状ではその方法は難しいですね。

<田崎>飲食店を締め付けると、お酒を飲みたい人は路上で飲んだり、都の休業要請やお酒提供禁止を守らずに通常営業しているお店に行って遅い時間まで飲んだり、あるいはお酒を提供しているエリアに移動して、飲んでいるという現象が起こっています。田村大臣のイメージとしては、年内にある程度出口が見えている感じでしょうか。

<田村大臣>まちがいなくワクチン接種の効果が、いま、表れつつあります。今年3月末までは新型コロナウイルス感染症の感染者全体の高齢者の比率は20%以上でしたが、ワクチン接種が進んだことと反比例して、高齢者の感染者数はどんどん下がって、現在は3.7%と、かなり低くなっています。今のワクチン接種のスピードでいくと、10月半ばぐらいまでにはワクチンを打ちたい方の接種はほとんど終わるのではないかと予想されます。ですので、秋以降は、今とは状況が変わってくると見ています。
イギリスを例にとると、明らかにワクチン効果で、重症者が減り、感染しても軽症に終わる患者の比率が増えています。その上、昨日(7月19日)に、軽症者用としては初となる「抗体カクテル療法」と呼ばれる新型コロナウイルス感染症の治療薬(点滴)を承認しましたので、その効果にも期待したいところです。

<田崎>例えば、インフルエンザにおけるタミフルのような飲み薬ができるといいですね。

<田村大臣>新型コロナウイルス感染症に特化した飲み薬は、残念ながら現段階ではまだありませんが、臨床試験中の飲み薬はありますので、そういう薬が登場してくると状況はずいぶん変わってくると思います。現状では、まずはワクチンでしっかり対応することが大事と考えます。

<田崎>ワクチン接種のスピードアップを図っていただき、今の4回目の緊急事態宣言が最後になるよう、強く願うところです。

<田村大臣>本来お酒は楽しく飲むものなので、ぜひとも今年中に、こころおきなく食事やお酒を楽しんでいただけるような社会に戻したいと思います。それにはもちろんアクリル板を設置し、換気には十分配慮した一連の感染対策を続行していただかなくてはなりませんが。
ワインにはいろいろなバリエーションがあるので、家でワインに合いそうな料理を作ってみるといった楽しみ方もできますが、やはりお店で飲むワインの味わいは格別です。ですから、今は、そういう楽しみ方ができないというストレスが社会全体に充満しています。「心の健康」という観点からもそういうストレスがない社会に徐々戻していきたいと思っています。

<田崎>最後に、大臣から、酒類を扱う我々へメッセージをお願いできますか。

<田村大臣>この1年半ぐらい、たいへんなご労苦があったと思います。お酒には何も罪がありません。ただお酒を飲む場で感染リスクが高まる行動がどうしても増えるし、とくに時間帯が関連しているのも事実です。現在、東京では、夜は時短をお願いし、酒類提供を止めていただいています。しかしながら、決して出口が見えない中で、お願いしているわけではありません。お酒の楽しみを提供されている皆様は、国民の皆様に「幸せ」を届けていただいているとても意義のある仕事されていらっしゃいます。その「幸せ」がないと人は生きてはいけません。私自身もそうです。ワクチン接種が進んでいくなかで、出口への光が見え始めていますので、ほんとたいへんと思いますが、ここはふんばっていただき、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

<田崎>ぜひ今後に期待しています。ありがとうございました。

 

 

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